連載【 What’s in my “NOSE” 】ー #08 NOSE SHOP PR担当 岸 ー

香りの楽しさや奥深さを伝えることを目指す、NOSE SHOPスタッフ。この連載では、香りにまつわる質問はもちろんのこと、NOSE SHOPとの出会いや愛用品の紹介を通じて、スタッフ1人1人の素顔に迫ります。その他、私服に合わせる“香水コーディネート”などもご紹介。第8回は「NOSE SHOP」PR担当の岸が登場!

Before meeting NOSE SHOP

学生時代から「企画すること」と「チームで何かを作りあげること」の2つがとにかく好きで、学校行事を進行したり、仲間とアイディアを出し合ったりする時間に心躍らせていました。大学では空間デザインを専攻し、卒業後は化粧品メーカーの関連会社でイベント制作を担当。化粧品業界のPRの方と仕事をする中で、「自分がやりたいことはPRに詰まっているのかもしれない」と感じました。世の中にあるすばらしいモノ・コトをもっと多くの人に知ってもらうために、あらゆる手段を使って企画し、発信していくPRという仕事に興味を持ち、代理店に転職しました。

その後、美容PRの代理店では、メイクやスキンケア、インナーケアなど幅広い商材を担当。ブランドによってストーリーも届けたい思いも全く異なることを実感し、「それぞれの目的に合った手段で魅力を伝える」ことの奥深さに夢中になりました。

そんな中、フレグランスのPRを初めて担当しました。香りという目に見えないものの魅力を届けるためには、作り手の思いはもちろん、自分自身はその香りにどう惹かれたのか、相手の心に訴えかけるような情緒的な表現とともに伝える必要があると思いました。そして、香りには受け手に委ねられた「余白」があって、1人1人がそこに違う美しさを見出せるところがすてきだと思ったんです。しかも香水は、科学の力によって芸術としても昇華されている。両極が融合して「香水」というひとつの形になることに惹かれました。

自分で香りを選んで身につけるようになったのは、高校1年生の頃。バラエティショップで買ったボディスプレーを毎日つけていて、「この間、街で同じ香りがしたよ」と友達に言われたとき、香りで自分を認識してもらえている感覚が嬉しかった記憶がありますね。高校3年間、その香りをずっと使い続けていました。

大学進学後は香りから離れていたのですが、5年後、仕事でとあるブランドの香水の発表会に参加したんです。五感を使って香りを体験するといったコンセプトだったのですが、片手に収まる小さな香水を、こんなに多面的かつ壮大に表現することもできるんだと感動して。香りが人の心に与える影響力はもちろん、伝え方の大切さを改めて実感しました。 

NOSE SHOP PR担当 岸

Meeting with NOSE SHOP

NOSE SHOPがニュウマン新宿にオープンした当初に訪れ、石膏像が並ぶラボのような独創的な空間に衝撃を受けました。それが、NOSE SHOPとの最初の出合いです。中に入ると見たことのない香水の数々と、初めて聞く「ニッチフレグランス」という言葉に、未知の世界を垣間見た気分でした。NOSE SHOPに通うなかで、香り、ビジュアル、ストーリーのどれをとっても同じものはなく、似た作品さえないことを実感しました。NOSE SHOPに入ったら香水というひとつのカテゴリーの中で、どれくらい違った景色と出会えるんだろうとワクワクし、自分の経験を活かして香りの魅力を伝えていきたいと思いました。

NOSE SHOPに入社直後、印象的だったのは、スタッフ全員が本当に香水を愛しているとわかる瞬間が多いこと。普段から香りの話が尽きず、サンプルが届くとみんなで試して感想を言い合う光景が当たり前なんです。スタッフ全員がただ仕事として香水を扱うのではなく、一人ひとりが純粋な香水ラバーであり続けている。だから、NOSE SHOPというブランドのコミュニケーションには、ちゃんと人の温度を感じるんだと気づきました。

現在はPRとして、社内外への情報発信はもちろん、店頭での販促企画やブランド創業者が来日された際のイベントの企画・運営、YouTubeやSNSでのコミュニケーション、メディア対応など幅広い業務を担当しています。今までにないアイディアを考え、ゼロからイチを生み出すことも大切に、かつて“香水砂漠”と呼ばれていた日本で香りの魅力を広く伝えていきたい。「NOSE SHOPとして業界をリードするために何ができるか」を考える日々は、大きなやりがいになっています。

What’s in my “NOSE”

好きな香りのジャンルは、ハーバル系やスパイシー系。素材だと、ジンジャーとカルダモンの香りが特に好きです。最近はハニー(ハチミツ)の香りに惹かれることが多く、甘い香りも開拓中です。

Essential Parfums「ザ ムスク」
NOSE SHOPに入社前、都内全店舗を回ったときに試して「これだ!」と思ったのがこの「ザ ムスク」。凛とした透明感のある香りで、まとった瞬間、襟を正せる感じがします。時間が経つと、香りの輪郭がより柔らかく変化するのも好きなポイントです。迷ったときに必ず手に取る、私のシグネチャー香水。今、2本目を愛用しています。

Nishane 「ナンシェ|夢と予言の守護者」
「最も暗い時代であっても賢明なる献身さと愛で弱きを包み、明るい未来へと導く」というコンセプトを読んだ瞬間に心を掴まれて、ストーリーで香りを選ぶ醍醐味を味わいました。香りはスパイスとパウダリーなアイリスのニュアンスがあります。エキストレド パルファムなので香りの持続もよく、つけるたびに「自分も優しい人でありたい」と思わせられます。

27 87「モザイク」
甘さのあるプラムやハチミツに、レザーのクールさが加わり、温かさと冷たさが共存したような香りです。今年はエディブルな(食べられる)素材を使って、“おいしい香り”をより広く捉えた「ネオ グルマン」がトレンドとのことで、最近改めて試した1本。ローストした香ばしいカカオの香りをはじめ、肌と混ざり合ったときの浮遊感が心地よくてお気に入りです。

Laboratorio Olfattivo「ルームスプレー ゼンゼロ|座禅」
ジンジャーとウッドのシンプルな香りが特徴のルームスプレー。就寝前にお部屋へ吹きかけるのがルーティンです。「座禅」という名前の通り、瞑想のような静けさを演出してくれます。1日の終わりに心を落ち着かせ、入眠モードに入ることができます。

KO-GU「ファブリックソフナー モス」
洗濯が終わって洗濯機を開けた瞬間、幸福感を得られる香りの柔軟剤。モスの香りは、洗練された落ち着きがあって、お洋服をふんわり包み込んでくれます。羽織ったときにほのかに香るのが心地よくて、おしゃれ着洗いのときには特に欠かせない存在になりました。

Favorite Items

ロールオンアロマ
ロールオンアロマが大好きでいろいろ持っているのですが、今回は選りすぐりの3つを持ってきました。(画像右から紹介)

1つ目は、Palm of Feroniaの「New Moon Aroma Oil」。ロンドンで手作業でブレンドされたプロダクトで、中にひとつずつ異なる天然石が入っているんです。香りはラベンダーやクラリセージがメインでハーバルな雰囲気。心のバランスを整えたいときにぴったりです。

次に紹介するのは、safe careの「リフレッシングオイル ロールオン」。こちらは「ザ・ミント!」という爽快な香り。リフレッシュしたいときやクールダウンしたいときに。最近は、お風呂上がりと起床後に首筋のマッサージ用として毎日愛用しています。

3つ目は、SAILの「ヴァーサタイルセルフオイル(ラブザイセルフ)」。ローズとネロリがメインの香りです。今まで華やかなフローラルの香りはあまり選んでこなかったのですが、こちらは草木のニュアンスもあってお気に入り。気持ちが明るくなる感じがします。

OSAJI「ニュアンス リップバーム 08 Ameagari〈雨あがり〉」
私はメイクの中で、圧倒的にリップメイクが好きです。お気に入りのリップをつけると、口角が上がって、話す言葉まで変わるような気がします。こちらはほぼ毎日使っているのですが、ちょっとブラウンがかったカラーで、ほどよい存在感があるんです。落ち方さえもしなやかで保湿力もお気に入り。オサジはネーミングがどれもすてきで、言葉で選ぶ楽しさを感じられるんです。(梅雨が明けた今、まさに使いたい1本です!)

MARK’S「EDiT 手帳 1日1ページ」
EDiTの1日1ページ手帳は7〜8年使ってます。私にとって日記はもう一つの「帰る場所」。スマホのメモアプリに書く日もありますが、「今日は紙にちゃんと書きたい」というときは、この手帳に思いを残します。文字にも気持ちが現れる気がして、やっぱり書くことって大事だなと思います。PRの仕事で言葉を紡ぐ機会が多いからこそ、言語化する習慣はずっと大切にしていきたいです。

石川微睡「白珠(しらたま)」

器の名前の「白珠」は「真珠」の別名らしく、白の中にも温かみがあって内側から光るような佇まいが好きです。器を手に取ると、作家さんの手から生まれた作品がときを経て、私の暮らしにあることに感動します。この器は眺めているだけで幸せなのですが、いつか勇気を出してお料理を盛り付けたいと思ってます(笑)


Perfume Coordinatiton

商談や取材対応の日は、ブラックのコーディネートが中心です。唯一無二の魅力溢れるニッチフレグランスの“黒子”として、いわば制服になっています。

「CFCL」のニットは、シームレスかつシーンを選ばないミニマルなデザインで、大切な日に選ぶ1枚です。着るとスイッチが入って、背筋が伸びる気がします。大きなポケットがアクセントのスカートは、ボリュームのあるシルエットがお気に入りです。

コンパクトなショルダーバッグは「ADD CULUMN」のもの。アニマルフリーの素材を使用しているエシカルなブランドの姿勢も含めて好きで、ランチのときのサブバッグとしても愛用しています。「TONY BIANCO」のパンプスは、上品な透け感のあるデザインが気に入って購入しました。アクセサリーはゴールドでまとめることが多く、「ARTIDA OUD」の指先につけるリングは、特別感があってつけるたびに気分が上がります。

香水は、全身ブラックのコーディネートでも、やわらかな印象を演出してくれる、Essential Parfumsの「ザ ムスク」。緊張するような場面でも、香りのおかげで平常心を保てるような気がします。仕事のスイッチを入れてくれるだけでなく、何度香っても癒される大切な香りです。


Tops:CFCL
skirt:vintage
shoes:TONY BIANCO
bag : ADD CULUMN
ring:ARTIDA OUD
perfume:Essential Parfums ザ ムスク

Dear NOSE SHOP FAN!

ニッチフレグランスには、極めて個人的な思い出や、今まで誰も題材にしなかったようなモチーフの作品がたくさんあります。だからこそ、パズルのピースがハマるように「たった1人のあなたのための香水がきっとある!」と思っています。皆さんにエネルギーや癒しや自信をもたらしてくれる、かけがえのない香りとの出会いを届けられるよう、これからも情報や体験の場をたくさんご用意していければと思います。ぜひNOSE SHOPで、自由に気軽に、皆さんの鼻の赴くままに、香りを楽しんでいただければ幸いです! 


※記事内の紹介製品は、すべてスタッフの私物です。

photo・interview|NOSE SHOP
text|Miho Kawabata